谷一夫一宮市長の退職申し出に伴う
一宮市長選挙が、明日、2015年2月1日(日)に行われる。
未来の一宮の進路を託す市長は誰になるのか?
かつて毛織物の町として栄えた愛知県一宮市。
産業の復興はなるのか?
プロダクト・ブランドの創生、育成には行政には無い「情熱」と「時間」が必要だ。
一宮市にはノームラテックス(王貞治のCMで有名だった)、スーパーテックスなど伝統あるブランドを保有している繊維企業が数多くある。
昭和46年沖縄返還に関わる日米交渉の結果、北米への輸出を規制されて以来、彼らは何もチャレンジせずに、構造不況業種の座に甘んじて、ただ消えるのを待っていた訳ではない。
かつて果敢にチャレンジした企業もたくさんあった。
対米輸出を断たれた繊維メーカーは、大型小売店の多店舗展開に伴う台頭著しい国内のアパレルメーカーに活路を見出した。
尾州の繊維メーカーは長年、厳しいアパレルの要望に極限までコストを削り技術やアイデアで応えることで生き延びてきた。
その生き残りのためにデザインやアイデアなど最終製品を作り上げるための頭脳の部分を切り捨て、外部のアパレルに依存したのも致し方ない。
さらに製品に仕上げる縫製の技術も尾州にはない。
たとえば、紳士物のスーツ。
仕上げるには生地を数十のパーツに裁断し、縫製する。
いくら生地が一流でも、パターン、裁断、縫製の方法によって製品の価値は大きく変化してしまう。
たとえ高価な食材であっても調理者に素材を生かす”技量”がなければ・・・。
さらに、時代を経て製品に対する消費者の意識も大きく変わってしまった。
かつての一着数十万円のスーツ。
美しいシルエット、着心地のよさに、動きやすさ、何年たっても型崩れしない仕立ての良いスーツは正に男子一生ものの宝であった。
それが今では一着1万円台のただの「はおり物」。
ファッション性の高いブランドスーツに至ってはシーズンが過ぎれは翌年袖を通す意欲も失せてしまう。
マフラーやショールなどファッション雑貨の小物程度では伝統と技術を持つ繊維メーカーのレスポンスを発揮することはできない。
これらの壁が想像以上に高く、あいた溝は深いのだ。