先日、一宮のコミュティ放送で「ひつじプロジェクト」の話題を取り上げていた。
羊と関わりの深い尾西、一宮。
わが町の毛織物発展に羊毛を提供してくれた羊に感謝して、
「羊を食べよう!」
凄い発想の飛躍だ。
毛織物に関わってきた人間にはとても受け入れられない。
そもそも毛織物用の羊と食用のマトンじゃ種類が違う。
どうもこの町では、何かを企画する際には表面的なイメージだけで、
歴史や沿革など一貫したストーリー性などあまり考慮されないようだ。
それは「一宮七夕まつり」しかりで、
真清田神社の御祭神「天火明命」の母神、萬幡豊秋津師比売命(よろづはたとよあきつしひめのみこと)が織物の神であることから織物工業の繁栄に感謝して云々とあるにも関わらず、
キャラクターが中国の伝説「織姫」「彦星」だったりする(笑)
かつて私が社員の末席を汚していた会社はとても羊を大切にしていた。
庭で羊を飼っていたこともあるし、某百貨店に貸し出していた羊の剥製をぞんざいに扱われ取引を停止したこともある。
オーストラリア、ニュージーランドから輸入されたフリース(油や泥のついたままの羊毛)を選別し、洗浄を経て紡績し、製織して服地にする一貫工場を持っていた。
1968(昭和43)年には当時皇太子であった今上天皇皇后両陛下の行幸を賜り、
製造工程をご見学された。
ご行幸を記念して社員が贈ったのが本社玄関前に飾られていた羊の銅像だった。
そんな会社を社員は誇りに思っていた。(・・・もう、知らない人ばかりだけれど・・・)
そんな羊毛を提供してくれたメリノ種に感謝して、食用種を食べる、なんて、、、。
身を守る体毛を持たぬ人間が衣服をつくるためには羊の毛を刈るが、命までは奪っていない。
人は生きるために生命を頂戴する。
感謝して食べる。
「いただきます」とは「命をいただきます」という意味。
ひつじプロジェクトに私が感じる違和感は、
感謝の「いただきます」が感じられないことにある。

※画像は三星テキスタイルグループHP(http://mitsu-boshi.jp/)より引用